年会長挨拶

 第52回日本毒性学会学術年会を2025年7月2日(水)〜4日(金)に沖縄コンベンションセンターにて開催する運びとなりました。まず私事ですが、1998年に韓国から来日した平凡な留学生が、27年経ってから本学術年会の年会長を担当していることに私自身が一番驚いています。今回は、仙台国際センターが大規模改修工事に伴う休館のため、15年ぶりに沖縄を開催地に選定しました。年会ポスターで示したように、アジアの中心に位置する沖縄は、本学会の会員だけではなくアジア諸国の毒性研究者が集うのに非常に魅力的な開催地です。また、沖縄は特有の自然毒や天然物などが存在する稀有な地域であり、本学術年会を契機に毒性学分野が活性化されることも期待しています。

 2023年に創立50周年を迎えた日本毒性学会は、米国毒性学会(SOT)および欧州毒性学会とともに毒性学分野の発展に大きく貢献してきました。特に、1994年には韓国毒性学会と協力して、中国毒性学会、タイ毒性学会および台湾毒性学会とともにAsian Society of Toxicology(ASIATOX)を設立しました。現在は8団体を束ねて、アジアのリーダーとして精力的に活動を展開しています。今回の学術年会では「Diversity in Toxicological Sciences for Sustainable Environment and Human Health」をテーマとし、国内の毒性研究者だけではなく、SOTやASIATOXの毒性研究者も参加し、毒性学分野の最新情報の収集や意見交換が活発に行われる国際的な年会を目指しています。

 第52回日本毒性学会学術年会は、例年同様、口頭およびポスターによる一般講演に加えて、特別講演、教育講演、シンポジウム、およびランチョンセミナーなどを開催します。また、ASIATOX理事長によるシンポジウムや韓国毒性学会との合同シンポジウムや、昨年の第51回年会で実施された若手研究者や女性研究者を中心としたシンポジウムなどが特徴的です。さらに初の試みとして、こども自然教室を企画しています。無料託児所(定員あり)も設置して、家族と共に参加しやすい年会を目指すことでダイバーシティの推進に取り組んでいます。

 7月上旬は梅雨明けしたばかりの初夏の沖縄を満喫できる時期であり、会場前の宜野湾トロピカルビーチには、まばゆいほどの白い砂浜とコバルトブルーの海が広がっています。美しい海に囲まれた沖縄で開催される本学術年会が盛会になりますよう鋭意準備を進めて参りますので、是非とも会員の皆様のご参加をお願いするとともに、関係各位のご支援を心よりお願い申し上げます。

第52回日本毒性学会学術年会
年会長 黄 基旭
東北医科薬科大学